交差点などでの信号待ちでヘッドライトを消す慣習が一部で見られます。いまや新車ではオートライトの装備が義務化され、ライトスイッチOFFポジションがないクルマも増えていますが、「消す派」も少なくないようです。

ヘッドライト いまのクルマは容易に消せなくなっている

夜間、交差点などでの信号待ちで、ヘッドライト(前照灯)を消しているクルマが一部で見られますが、今後はこうしたことが少なくなっていくかもしれません。というのも、いまのクルマは容易に消せない構造になっているからです。

2020年4月以降の新車から、周囲の明るさが一定以下になるとロービーム(すれ違い用前照灯)を自動で点灯する「オートライト」の装備が義務化されています。薄暮れの時間帯に交通事故が多い実態を踏まえた措置です。オートライト機能そのものは以前からありましたが、現在の新車では走行中「手動で解除できない仕様」となっています。

なかには、ランプスイッチからOFFポジションそのものがなくなり、イグニッションがオンの状態では、ライトスイッチを所定の位置に合わせ、パーキングブレーキをかけたりシフトをPレンジにしたりと、ヘッドライトの消灯にひと手間かかるというクルマも増えています。

とはいえ、義務化以前のクルマに乗っている大多数のドライバーは、手元のスイッチで気軽にヘッドライトを消せるからこそ、信号待ちでちょくちょく消灯することが慣習として残っているのかもしれません。ただ警察や教習所で推奨しているものでもないようです。クルマライトについて特集したJAFの会報誌「JAF MATE」2021年2・3月号でも、つけ忘れの恐れなどから、やはり推奨していません。

それでも、なぜ信号待ちでヘッドライトを消す人がいるのでしょうか。

もともとは昭和の慣習?

信号待ちでヘッドライトを消すという人のなかには、前に停まったクルマや対向車に眩しくないように、つまり思いやりのひとつだといった意見が見られます。

ある自動車教習所の教官は、この慣習について、「もともとタクシー業界から生まれたものと聞いている」と話します。昔のクルマは発電性能が低く、さまざまな機器を積んでいるタクシーが、ヘッドライトをこまめに消してバッテリーの消耗を抑えていた慣習が、一般にも広がったと考えられるそうです。

もちろん、いまや発電やバッテリーの性能も向上しており、こうした話は過去のものといえるでしょう。

オートライトが装備されてきた背景には、自車の位置を周りに知らせる、ヘッドライトを周囲が暗くならないうちに点灯させて事故を防ぐ、つけ忘れを防止するといった観点もあります。また、現在はオートハイビームや、対向車などの動きに合わせて自動で部分的に遮光する機能を備えたクルマも増えており、ライトスイッチそのものに触る必要がなくなりつつあるのかもしれません。

写真はイメージ(画像:Makoto Honda/123RF)。


(出典 news.nicovideo.jp)


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