ワニが多数生息することで知られるアメリカ・フロリダ州の湖で今月20日、犬を散歩中の85歳の女性がワニに襲われ死亡した。このたびYouTubeチャンネル『Inside Edition』が事故直前の映像を公開、衝撃が広がっている。
フロリダ州セントルーシー郡フォート・ピアースで20日、グロリア・サージさん(Gloria Serge、85)がワニに襲われ死亡した。
当時の様子は野生動物を観察するために設置されたカメラが捉えており、小型犬を連れたグロリアさんが、水辺のすぐそばを歩いていて襲撃されたことが明らかになった。
公開された動画では、水辺にたたずむグロリアさんと小型犬に、ワニが水中から近付いてくるのが分かる。リードにつながれた犬は水面を見ているが、グロリアさんはワニには全く気付いていない様子である。
そうしてワニが最初に狙った獲物は、グロリアさんの後を追うように歩き始めた犬で、水中から飛び出すと犬に向かって突進した。
驚いた犬はその後、なんとか逃げ切ったかのように見えたが、ワニは口を開けたまま犬を追い、猛スピードで這っていく。一方で、リードを引っ張られたグロリアさんは足元がふらついており、動画はここで終わっている。
実は当時、現場のすぐ近くに住むキャロル・トーマスさん(Carole Thomas、76)が自宅窓から襲撃を目撃、緊急通報をしながら慌てて外に飛び出していた。
キャロルさんによると、ワニは最初に犬を捕まえたが、その直後にグロリアさんが転倒、犬の代わりにグロリアさんを水中に引きずり込んで姿を消したという。
当時の緊急通報の会話では、キャロルさんが取り乱しながら状況を説明し、「ワニは物凄い大きさよ…」「彼女はまだ生きている…。でもワニが水中に引きずり込んだの…。湖の中にね」「もう遅いわ。遅すぎる!」「オーマイガー!」「オーノー!」などと言いながら悲痛な叫びを上げている。
オペレーターは「息を大きく吸って落ち着いて!」となだめるも、キャロルさんは「長い棒を水中に入れ、グロリアさんを引っ張って救おうとしたけどダメだった」「オーマイガー!」「彼女の姿が見えないわ! 彼女は消えてしまったのよ!」とすすり泣いているようだった。
なおグロリアさんが住んでいたのは、高齢者が集まって暮らすリタイアメント・コミュニティ(高齢者居住地区)で、キャロルさんは事故後のインタビューで次のように語り、肩を落とした。
「こんなことが起きるなんて本当に恐ろしいことよ。彼女の家族にとっても、友達にとってもね…。みんなショックで打ちのめされているわ。」
「私がもっと早く駆け付けていたら…と思うけど、どんなに私が急いでも、彼女を救うことはできなかったでしょうね…。」
ちなみに小型犬は無事だったが、グロリアさんは遺体で発見され、ワニは捕獲後に安楽死させられている。このワニは現場付近に生息、住民からは“ヘンリー(Henry)”と呼ばれていたそうで、体長が3メートル超あったという。
フロリダ州魚類・野生生物保護委員会は「フロリダ州では人間がワニに襲われて重傷を負うケースは珍しいが、起こり得ること」と述べ、当局はペットの散歩をする時は水辺に近付かないよう改めて注意喚起した。
画像は『Inside Edition 2023年2月23日公開YouTube「911 Call Reveals Moments After Gator Attacks Elderly Woman」』のサムネイル、『TMZ 2023年2月22日付「TERRIFYING VIDEO, 911 AUDIO RELEASED… ‘An Alligator Has A Woman!!!’」(St. Lucie County Sheriff’s Dept)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)
エン・ジャパン(東京都新宿区)は、自社で運営する転職サイトのユーザーを対象に「デジタル給与」についてアンケート調査を行った。「デジタル給与」について、約半数が「知らない」と回答し、「利用したい」と回答した人は19%にとどまる結果となった。
2023年4月から解禁される、給与をデジタルマネーで受け取ることのできる「デジタル給与」について、内容を知っているか聞いてみると、「内容をよく知っている」「概要は知っている」を合わせて48%が「知っている」と回答した。
年代別に見てみると、20代で「知っている」と回答した人は40%と全体の割合よりも少なくなっており、年齢が上がるにつれて、「知っている」人の割合が多くなる傾向がみられた。
「デジタル給与」が解禁された場合、利用したいかどうかを尋ねると、「あまり利用したくない・利用したくない」と回答した人は57%となり、「とても利用したい・利用したい」と回答した人は19%にとどまる結果となった。
「利用したい」と回答した人からは、「インフレで物価が高くなる一方、給与は上がらない現状において、不要な手間や手数料などのコストを省けることは有用性が高いため」(35歳・男性)、「電子マネーを使う機会が増えているため、自分でチャージする手間を省けるのは良いと思う」(36歳・女性)、「電子マネーがとても便利だと感じているが、現金振り込みと電子マネー割合が分けられるとより良いと思う」(32歳・女性)などの理由があがった。
一方、「利用したくない」と回答した人からは、「田舎では、現金のみでの決済の店が多いから」(26歳・男性)、「デジタル給与から現金化できればいいが、それができないのあれば現金の方が良いと感じる」(34歳・女性)、「預貯金などの貯蓄や資産運用を考えた時、対応する金融機関の状況が不明確なため」(46歳・男性)などの声が寄せられた。
「デジタル給与」を利用するかは「分からない」、「その他」を選択した人からは、「履歴が記録されていって家計簿にもなると思うが、電子系はお金が減っていく感覚が低いため使いすぎなどが怖い」(31歳・女性)、「家族の希望なども考慮する必要があるため」(32歳・男性)などのコメントがあった。
調査は、「エン転職」を利用するユーザーを対象に、11月28日~12月25日にインターネットで実施した。有効回答数は1万2171人。
1月10日、赤い羽根共同募金のサイトに
中央共同募金会による一般社団法人Colabo等への助成について
https://www.akaihane.or.jp/news/31075/
という文章が掲載された。
中央共同募金会(以下、本会)による一般社団法人Colabo(以下、Colabo)およびNPO法人ぱっぷす(以下、ぱっぷす)の事業への助成につきまして、多数のお問合せをいただいております。
と、現在ネットで炎上状態となっている、東京都若年被害女性等支援事業の委託先である一般社団法人ColaboやNPO法人ぱっぷすの助成についての説明を行った。
関連記事:
赤い羽根共同募金がネットで炎上!? 仁藤夢乃さん代表のColaboに3年間で計2680万円助成か 「二度と募金しない」等の声も………
https://getnews.jp/archives/3372779[リンク]
それによれば、Colaboとぱっぷすへの助成は、毎年行われている「赤い羽根共同募金」(いわゆる赤い羽根募金)ではなく独自に寄付募集を実施している「赤い羽根福祉基金」によるものだという。
Colaboに対しては2018年度から3年間で2680万円、ぱっぷすには2020年から3年間で2700万円の助成を行ったとのこと。
本会が実施する「赤い羽根福祉基金」は、生きづらさを抱える若者の支援活動などに取り組むNPO等の事業を応援するために設けた寄付・助成プログラムで、先駆的で全国的なモデルとして期待できる活動を対象として年間1,000万円を上限とした助成を行っています。趣旨にご理解をいただきますようお願いいたします。
と結んでいる。
助成先について赤い羽根共同募金が声明を発表するのは異例と思われるが、声明の発表後にも、赤い羽根の中央共同募金会のTwitterアカウント(@akaihane_chuo)には
「基金だろうが募金の金だろうが適当な使い方する組織に金を渡したいとは思わない」
といったコメントなど、批判的な声が相次いで寄せられていたようだ。
※画像は「赤い羽根共同募金」のサイトより
1. マイナカード普及に「SPY×FAMILY」起用、SNSは「スパイに個人情報握らせるな」とツッコミ多数 河野大臣の狙いは
2. Twitter、Mastodon他のSNSへのリンクツイートをポリシー変更で禁止(SNSの有料広告ならOK)
3. IT技術職の平均年収はいくら? 年収額アップ2位は「サーバエンジニア」、1位は? doda調べ
4. 「切腹を言い渡されました」──3DCG投稿者にピクシブからアカウント停止の事前連絡が届き始める
5. インボイス問題、声優が語る“陳情”のリアル 「超塩対応」の議員と涙のバトルも
6. 「QRコード決済は年内で止めます」──創業40年のカレー料理屋の投稿が話題 「利用増えるにつれ、手数料がすごい金額に」
7. 「アーニャしってる……」 デジタル庁がSPY×FAMILYとコラボ Mission「マイナカードの魅力を伝えよ」
8. マスク氏、TwitterからMastodon排除か URL投稿禁止、リンクに有害判定、公式アカ凍結
9. Twitter、ツイートが見られた回数を表示する機能を追加
10. 2022年、平均年収が高かったプログラミング言語 2位「TypeScript」を上回ったのは? 「paiza」調べ
ITmedia NEWSにおける1週間の記事アクセス数を集計し、上位10記事を紹介する「ITmedia NEWS Weekly Top10」。今回は2022年12月17日から23日までの7日間について集計し、まとめた。
先週のアクセストップは、デジタル庁がマイナンバーカード普及キャンペーンにアニメ「SPY×FAMILY」を採用したことに対して、「スパイに個人情報を握らせるとは何事だ」「メインキャラが経歴詐称してるんだが」などツッコミが入っている――という記事。
河野太郎デジタル大臣によると、「10代20代・子供のいる40代の普及が遅れている」ため、その世代に訴求する方法として同作を選んだという。
ちなみに筆者は、申請しようかなあ……と思っているうちに年末を迎えてしまった、典型的な“子どものいる40代”だ。「マイナポイント第二弾」の期限が来年2月末までに延長されたことにホッとしているが、その時期は確定申告のタイミングなので、申請する余裕があるかどうか……。
アクセス2位は、Twitterが、MastodonやFacebook、InstagramなどのURLの投稿を禁止したという記事。ライバル排除に動いたTwitterだが、大きな反発を受けたためかその後、このポリシーを削除しており、外部SNSのURLも投稿可能になっている(MastodonのElonJetアカウントなど一部を除く)。
直接のライバルになるMastodonはともかく、Instagramなどタイプの異なるSNSまで、一時的に投稿を禁止していたTwitter。イーロン・マスク氏に経営権が渡ってから、ドラスティックな変更が続いている。
ツイートが閲覧された回数が表示される「View Count」機能の実装もその一つだ。
閲覧数が見えるのはまあ良いとしても、従来リプライボタンがあった位置に閲覧数が表示されるようになり、リプライボタンが右に押しやられてちょっと押しにくくなった気がする。
スマホアプリ版では、最上部に必ず広告ツイートが出るようになった。Twitterの財政健全化のために、広告をより表示しやすくする必要はあるのだろうが、ユーザーとしては、正直ちょっと微妙だ。
マスク氏がCEOになった直後は、Twitterから広告やおすすめツイートが減り、ぐちゃぐちゃになっていたタイムラインがスッキリしていた。が、気づいたら広告やおすすめツイートがドドンと挿入されるようになり、他SNSのリンクが(一時的にせよ)投稿不能になり、リプライ欄の位置が変わり……と、以前と同等に戻ったか、むしろ使いにくくなった気もする。
2022年11月28日、韓国・中央日報によると、サッカーカタールワールドカップ(W杯)の韓国対ガーナ戦を前に、韓国与党の重鎮の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)非常対策委員長がSNSに掲載した写真が物議を醸している。
記事によると、鄭委員長は韓国国会議員サッカー連盟の会長を務めている。鄭委員長は同日、自身のSNSに「ガーナ…今夜こんな風に引き裂いてやる」と書き込み、ばらばらに砕いたガーナチョコレートの写真を掲載した。ガーナチョコレートは1975年から韓国で生産され、ガーナの認知度上昇に貢献してきたという。
韓国とガーナは同日午後10時からグループリーグH組第2戦を戦う。ウルグアイとの第1戦で0‐0で引き分けた韓国は、目標の16強進出のために必ず勝利を収める必要がある。
この写真を見た韓国のネットユーザーからは「恥ずかしい」「なぜこんなことをするのか。相手チームも尊重するべき」「サッカーはスポーツ。相手への尊重と配慮が大切」「自分が公人で政治家だということを忘れてしまったの?品もなく浅はかな行動だ」「小学生でもこんなことはしない」「ガーナの人たちが見たらどれだけ嫌な気持ちになるか」「一般国民がしたとしてもガーナ国民が知ったら大問題になる。与党代表の仕業と広まったら、外交問題になるのでは」など、批判的な声が殺到している。(翻訳・編集/堂本)
— 돌아온 코난 (@schema35943103) November 28, 2022
아무리 무식하다고 해도 '정신줄'은 붙잡고 있어야죠. 정진석은 '가나'를 대놓고 '모욕'하고 있습니다. pic.twitter.com/P3pwdjYvC8
接客業では、ときどき理不尽な客に遭遇します。なかでも厄介なのは「女性を軽視する男性」。
村田沙織さん(35歳・パート)は、小売店の店舗勤務。仕事先である日、とんでもない客に遭遇してしまったそうです。
「ある男性のお客様から、電話でオンラインショッピングに掲載している商品についての問いあわせを受けました。そのお客様は、店の決まり上、当日しかできない取り置きを5日間取り置きしろという無理な要求をしてきたんです。マニュアル上NGなので丁寧に説明してお断りすると『お前みたいな使えないババアに言っても仕方ねぇから、店長出せよ!』と怒鳴りはじめたのです」
いわゆるクレーマーのようなタイプの客に当たってしまった村田さん。お客さまにクレームを受ける経験は今までもあったけれど、この客はかなりのくせ者。あいにく店長はお休みで、すぐに代わることもできないため、できることは答えようと真摯に接したそうです。
しつこく難癖をつけられても、ぐっとこらえながら丁寧に対応していた村田さんですが、「ババア」呼ばわりされた瞬間、怒りで血の気が引いたそうです。
◆反論できずモヤモヤ
「店舗で接客をしていると、けっこうな割合で女性を軽視するような態度をとるお客様に遭遇します。理不尽だなぁと思いながらも、反論もできないのでモヤモヤしながら接しています。
ですが今回は、女性軽視の上に、お客様はどう考えても無茶なことを言っています。それでもできるだけ丁寧にお答えしました。なのに『お前みたいな何も知らないババアに言っても話にならないから店長出せ!』と言われ、わたしの中の何かがプチっと切れました」
◆冷たい返事にひるむ相手
あまりの非道な物言いにブチ切れた村田さんですが、接客の場ではそのまま言い返すわけにはいきません。ですがその怒りが伝わるように工夫したそうです。
「『ゴチャゴチャ言ってんじゃねーよ!!!』とブチギレたいのをこらえるしかなく、どう応対しようか考えました。その結果、ネチネチ続く嫌味とディスりに対し、何を言われても恐ろしく冷静な声で『そうですね』と言い続けました。なんとか説明して分かってもらおうと必死になるのがバカらしくなったんですよね。すると逆に、お客様のほうがタジタジと静かになっていくのが分かりました」
まだまだ続くお客様のディスりに、反論をやめて「そうですね」「おっしゃる通りです」と答え続けた村田さん。結局、店長から電話をすることにしてやっと電話を切ったのですが、その後、意外な展開に。
◆「今日取りに行きます」
「店長に連絡を取ろうとしていたら、再度同じお客さんから電話があったんです。あれだけ5日間取り置きをしろ!と怒鳴っていたのに、何を思ったのか、急に手のひらを返して、おそろしく猫なで声で『やっぱり今日取りに行きます…』と連絡がありました」
◆こんなやつにババア呼ばわりされたなんて
村田さんをババア呼ばわりして、ディスりまくった客が来店するとなり、いったいどんな人だろうと思って待ち構えていた村田さん。なんと来たのは同年代の男性だったそうです。
「電話では、あれだけ威勢がよかったくせに、そそくさと店内に入り、申し訳なさそうな笑顔で恥ずかしそうにレジに来て。ポイントカードの内容を見てわたしと同年代の老け顔男性にババア呼ばわりされたと思うと、怒りがさらに増しました。こういう男性は地獄に落ちろと呪いをかけながらレジを打って商品をお渡ししました」
電話では威勢がいいのに、実際に顔を出すと委縮している男性客は、けっこう多いそう。接客を仕事にしている女性をストレスのはけ口にしている男性も多いのかもしれません。
けれど女性だからと軽視して、ババア呼ばわりする男性は最低です。そんな男性とはできるだけ関わりたくないですね。
―シリーズ「女性扱いでモヤッた話」―
<文/塩辛いか乃>
【塩辛いか乃】世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako
一歩間違えれば、ロシアと西側の核戦争が勃発し、人類は滅亡するかもしれない。
ウクライナ危機は地球の存続を左右する大惨事であるにもかかわらず、日本を含む西側諸国は停戦の努力を放棄し、戦争の一方の当事者であるウクライナを絶対正義とみなして全面支援し、徹底的にロシアを敗北させようとしている。
この戦争は、ロシア・ベラルーシ対ウクライナ・NATO(北大西洋条約機構)の軍事紛争であり、ロシア対西側連合の経済・イデオロギー戦争だ。
岸田文雄政権はウクライナに攻撃兵器となるドローンを供与し、ヒステリックな対ロ制裁を実施し、ロシアの世界観を全否定している。
米国の正義を狂信するジョー・バイデン政権が極東でも事態をエスカレートさせれば、既に戦争の当事国となった日本は第3次世界大戦の戦場となる可能性がある。
一刻も早く停戦を実現させるために私たちができることは何か。
市民一人ひとりがロシア側の主張についても冷静かつ客観的に議論を深め、無責任な日本政府に戦争当事者であることをやめさせ、中立国として停戦協議の場を提供させることだ。
私は一人の人間として、あらゆる戦争に反対だ。ロシアでは部分動員が完了し、極東連邦大学(ウラジオストク)の教え子や元同僚が前線に派遣される可能性が高まっている。
「祖国を守るため」と戦う者もいれば、反戦の意志を貫く者もいるだろう。立場がどうであれ、彼らには何があっても生き残ってほしい。これ以上、ウクライナ人、ロシア人、外国人義勇兵の尊い命が奪われないよう、祈るしかない。
ただ、一政治学者として、中立・客観的な立場から、この戦争の本質を冷徹に分析する義務がある。
この間、日米欧の政治家・メディア・専門家の多くが「西側のリベラルな理想」と「国際社会の現実」を混同して議論していることに強い危機感を覚える。
彼らは集団催眠状態に陥ったかのように、「ウラジーミル・プーチン大統領は領土拡大のために一方的な侵略戦争を始め、無実のウクライナ人は祖国を守るために戦っているだけだ」というマントラを唱え続けている。
だが、これは「プーチンの戦争」ではない。
ロシア国民の大多数は「祖国防衛とロシア人解放のための軍事作戦」だと考えている。なぜか?
日本では「ウクライナと西側の正義」は語り尽くされてきたので、「ロシアの正義」についても真剣に議論する必要があるだろう。
誰がどうやってこの戦争を始めたのかを正確に理解することは重要だ。
なぜなら、西側の主要メディアの多くは、「2・24に大義もなく突然ウクライナを侵攻したロシアは処罰すべき悪い国だ」という確信に基づいて戦争報道を続けており、その大前提が崩れた時、彼らの報道の客観性が大いに疑われることになるからだ。
実は、ロシアが「特別軍事作戦」を開始する前から戦争は既に始まっていたという議論がある。
例えば、国連平和維持活動の政策責任者を務め、NATOではウクライナ支援プログラムにも参加したジャック・ボー(Jacques Baud)氏は、今年2月16日にウクライナが戦争を始めたと主張している。
以下、ボー氏がフランス情報研究センター(Centre Français de Recherche sur le Renseignement)『文献速報』第27号に寄稿した論文「ウクライナの軍事情勢:https://cf2r.org/documentation/la-situation-militaire-en-ukraine/」の内容を整理した上で、「2・16開戦説」について検証したい。
ボー氏はまず、ミンスク合意に至る過程について次のように指摘している。
・この紛争の根源は、2014年2月にヤヌコヴィッチ政権を転覆させた直後、新政府がロシア語を公用語から外し、ウクライナ東・南部のロシア語話者地域に対して激しい弾圧を実行し、オデッサやマリウポリなど各地で虐殺事件が発生したことにある。
・2014年5月に東部のドンバス地域で自称ドネツク・ルガンスク両共和国が行った住民投票は、プーチン大統領の助言に反して行われた。
「親露派」という言い方はロシアが紛争の当事者だったことを示唆するが、それは事実ではなく、「ロシア語話者」と言った方が適切だろう。
・2014年、NATOで小型武器の拡散との戦いを担当していた時、ロシアから反政府勢力に兵器や軍装備品が渡されたことはなかった。
ロシア語を話すウクライナ軍部隊が味方につき、反政府勢力の武装化が進んだ。ドンバスに対する大規模な反テロ作戦を開始したウクライナ政府がデバルツェボで完敗を喫し、2015年2月に「ミンスク2」協定が結ばれた。
・東部紛争をめぐる停戦協定である「ミンスク合意」は、ドネツク・ルガンスク両共和国の分離や独立ではなく、ウクライナ国内での自治を規定していた。
両共和国の地位は政府と両共和国の代表との間で交渉されると書かれており、ウクライナの国内問題なので、2014年以降、ロシアは交渉の当事者になることを拒否し、合意の履行を求め続けていた。
2022年2月23~24日より前にOSCE(欧州安全保障協力機構)の監視員がドンバスで活動するロシア軍部隊の痕跡を観測したことは一度もなかった。
ボー氏は、ウクライナ政府が弱体化した軍の兵力不足を補うために準軍事組織の民兵に頼り、基本的に外国人傭兵から成る民兵の多くは極右過激派だと指摘する。
(ウクライナの軍事力をまとめたロイター通信によると、2020年、全兵力31万1000人の内、民兵は10万2000人)。
彼はウクライナの民兵の特徴について、次の点を明らかにしている。
・19カ国から集まった民兵は、米英仏・カナダによって武装化され、資金提供を受け、訓練された。西側は、2014年から民間人に対するレイプ・拷問・虐殺などの数多くの犯罪を犯してきた彼らに武器を与え続けた。
・西側諸国によって支えられた極右民兵は、2014年からドンバスで活動し続けた。彼らは暴力的で吐き気を催させるイデオロギーを伝え、猛烈な反ユダヤ主義者だ。
アゾフ連隊などの狂信的で残忍な過激派民兵は、ユーロマイダン革命を活気づけた極右集団から創設された。ロシアだけでなく、ユダヤ人団体、西側メディア、米陸軍士官学校の反テロセンターなどもウクライナの民兵を「ナチ」や「ネオナチ」と特徴付けている。
その上で、今年2月24日にロシアが軍事介入するまでのドンバスの状況について、次のように分析している。
・2021年3月24日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はクリミア奪還命令を出し、南部に軍を配備し始めた。
同時に黒海とバルト海の間でNATOの軍事演習が何度か行われ、ロシア国境沿いの偵察飛行が大幅に増加した。
その後、ロシアは軍事演習を実施した。同年10月、ウクライナはミンスク合意に違反し、ドンバスでドローン攻撃を行った。
・2022年2月11日、独仏露ウの補佐官級会合は具体的な成果が出ずに終わり、明らかに米国からの圧力の下で、ウクライナはミンスク合意の適用を拒否した。
プーチン大統領は、西側は空約束をするだけで合意を遵守させるつもりはないと言及した。ドンバスの両軍接触地帯での政府側の軍事的準備が進み、15日、ロシア議会は両共和国の独立を承認するようプーチン氏に求めたが、彼は承認を拒絶した。
・2月16日以降、OSCE監視団の日報が示す通り、ドンバスの住民に対する砲撃が激増した。当然のことながら、西側のメディアと政府、EU、NATOは何も反応せず、介入しなかった。
EUや一部の国々は、ドンバス住民の虐殺がロシアの介入を引き起こすことを知りながら、虐殺について故意に沈黙を保ったようだ。
・早ければ2月16日にバイデン大統領は、ウクライナ軍がドンバスの民間人を砲撃し始めたことを知っていた。
プーチン大統領は、ドンバスを軍事的に助けて国際問題を引き起こすか、ロシア語話者の住民が粉砕されるのを傍観するか、難しい選択を迫られた。
・プーチン氏は、介入すれば、「保護する責任」(R2P)の国際義務を呼び起こせること、介入の性質や規模にかかわらず制裁の嵐を引き起こすことを知っていた。
ロシアの介入がドンバスに限定されようが、ウクライナの地位について西側に圧力をかけるためにさらに突き進もうが、支払う代償は同じだろう。
2月21日、彼は演説でこのことを説明し、下院の要請に応じて2共和国の独立を承認し、彼らとの友好・援助条約に署名した。
・ドンバスの住民に対するウクライナ軍の砲撃は続き、2月23日、両共和国はロシアに軍事援助を求めた。24日、プーチン氏は、防衛同盟の枠組みの中での相互軍事援助を規定する国連憲章第51条を発動した。
・国民の目から見てロシアの介入を完全に違法なものとするために、西側諸国は戦争が実際には2月16日に始まったという事実を意図的に隠した。
一部のロシアと欧州の情報機関が十分認識していたように、ウクライナ軍は早ければ21年にドンバスを攻撃する準備をしていた。
米英の情報機関で訓練を受け、スイス戦略情報局員だったジャック・ボー氏は、主に西側の公開情報や国連・OSCE(欧州安全保障協力機構)の客観的なデータを提示しながらこの戦争を緻密に分析している。
ロシアの介入が始まる前の軍事情勢も踏まえつつ、中立機関のデータなどを基に2・16開戦説を検証してみよう。
「今年2月16日からウクライナ軍がドンバスの住民を集中砲撃し始めた」とボー氏が主張する根拠となっているのは、OSCEが作成した「ウクライナ特別監視団の日報・現地報告(Daily and spot reports from the Special Monitoring Mission to Ukraine):https://www.osce.org/ukraine-smm/reports/」だ。
日報では、ドネツク・ルガンスク地域における停戦違反と砲撃の回数・場所が報告されている。
実際にデータを確認してみたが、1日平均の停戦違反・砲撃数は、昨年は257回・約70発、今年は2月14日までは200回余り・約50発だった。
2月15日は153回・76発だったが、16日になると591回・316発と急増している。
その後は17日に870回・654発、18日に1566回・1413発、19~20日は3231回・2026発だった。プーチン大統領がドンバスの2共和国の独立を承認した21日には1927回・1481発、22日は1710回・1420発だった。
また、日報の停戦違反・砲撃地が示された地図を見ると、16日からドネツク・ルガンスクにおける政府管理地域と両人民共和国の境界線上で激しい戦闘が始まったことが分かる。
17日以降の地図からは、ロシアが介入するまで、ウクライナ軍が日を追うごとに両共和国内に攻め込んで激しく砲撃している状況が読み取れる。
1日の砲撃数が300発を超えた16日からドンバスでは戦争状態になったというボー氏の主張には説得力がある。
だが、OSCEの日報だけでは、戦争を始めたのがウクライナ軍だったのか共和国側だったのかは分からない。
米国・NATOの動き、ドンバスの軍事情勢、民間人死傷者に関するデータなどから、どのようにこの戦争が始まったのか分析を試みる。
ウクライナが独仏露ウ会合でミンスク合意の適用を拒否した2月11日、バイデン大統領はNATO・EUの指導者に「プーチン氏がウクライナの侵攻を決定し、16日にも攻撃する」と伝えた。
13日、OSCEウクライナ特別監視団が「最近、特定の参加国が、自国の監視員は数日以内にウクライナから退去すべきだという決定を下した」というプレス声明を出す。
同日、ロシア外務省のザハロワ報道官は「この決定には深刻な懸念を抱かざるを得ない。監視団は米国によって故意に軍事的ヒステリー状態に引きずり込まれ、今後起こりうる挑発の道具として利用されている」と反応した。
13日にはルガンスク人民共和国の幹部も「米英・EUの監視員の撤退はウクライナと西側が大規模な挑発を始めることを意味する」と発言し、ドネツク人民共和国の幹部は「米英・デンマークの監視員が共和国を去った」と話していた。
17日、米英などに拠点がある「戦争・平和報道研究所(IWPR)」も、「情報筋によると、2月16日時点で米英・カナダ・デンマーク・アルバニアがウクライナから監視員を撤退させ、オランダは政府管理地域へ団員を移動させた」と報じている。
実際に集中砲撃が始まる16日の前に米国と一部のNATO加盟国は自国監視員をウクライナあるいは共和国側から退去させ、バイデン氏の「予言」は西側メディアでも機能し続けていた。
一方、ロシアは監視活動の継続を訴え、国連安保理でもウクライナを侵攻する計画はなく、軍事的緊張を高めているのは米国率いる西側だと非難し続けていた。
このような状況下、まだ多くのOSCE監視員がミンスク合意の遵守を監視する中、まさに予言された日から共和国側が政府管理地域との境界線上で全面戦争を始めたとは考えにくい。
2月16日にはロシアのペスコフ大統領報道官が「全世界は既にウクライナ政府がドンバスで軍事作戦を始めたことを目撃した」と発言している。
また、昨年12月1日にロイター通信は、紛争地のドンバスに12万5000人の部隊を配備したウクライナをロシアが非難したと報じていた。
今年2月21日には国連安保理でロシアのネベンジャ国連大使が、ウクライナがドンバスの境界線に12万の部隊を配備していたと指摘した。
2・24前に西側メディアの多くは、10~15万のロシア軍がウクライナとの国境周辺にいると報道し続けたが、2・16から約12万のウクライナ軍と4万~4.5万と言われる2共和国の武装勢力が激しい戦闘状態に入ったという構図は伝えなかった。
プーチン氏が両共和国の独立を承認するか不明だった16日の段階で、共和国側が米国などの最新兵器を有するウクライナ軍12万に対して全面戦争を始めるだろうか?
ロシアが軍事介入した24日時点でも、総兵力31万以上のNATO化されたウクライナ軍と計約20万のロシア軍・共和国武装勢力が戦うという軍事情勢だったとも言える。
さらに、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が今年1月27日に公表した「ウクライナにおける紛争関連の民間人死傷者(Conflict-related civilian casualties in Ukraine)」によると、2018年から21年までのドンバスでの激しい戦闘による民間人死傷者の81.4%は両共和国の管理地域内で発生しており、ウクライナ軍の攻撃の結果だと分かる(政府管理地域の民間人死傷者は、16.3%)。
少なくとも2018年から、事実上のNATO軍になりつつあったウクライナ軍がロシア語話者の民間人も激しく攻撃し続けていたと言える。
以上の状況から、断言はできないが、米国・NATOと一体化し、軍事力で反政府勢力を圧倒していたウクライナ政府が2月16日に戦争を始めた可能性が高いと言えるだろう。
2・24にロシアがウクライナに軍事介入した理由は、ゼレンスキー政権がロシア語話者の住民を猛烈に砲撃し続けるのを傍観できなかったからだと思われる。
1日の砲撃数が1481発まで激増した2月21日にプーチン大統領は2共和国の独立を承認したが、ウクライナ政府はロシアが集団的自衛権を行使することを知りながら、22日もロシア語話者の住民を集中砲撃し、米国・西側諸国はそれを黙認していた。
プーチン氏が全面的な介入を選択した理由としては、以下の点が挙げられよう。
・マイダン革命後の8年間、米国・NATOに支えられたポロシェンコ・ゼレンスキー両政権は、ロシア系ウクライナ人のロシア語を使用する権利を奪い続け、自治の拡大と生存権を求めて闘っていたロシア語話者の自国民をテロリストと呼んで弾圧・攻撃・虐殺し続けた。
・2008年以降、米国はウクライナのNATO加盟だけは絶対に許容できないと訴えてきたロシアを無視し、14年からNATOと共に毎年約1万人のウクライナ兵を訓練し、2・24前までにウクライナ軍は最新兵器を備えた事実上のNATO軍になっていた。
・ネオナチとされる極右民兵などはロシア系ウクライナ人に対する拷問・虐殺などの犯罪を犯し続けたが、政府と裁判所だけでなくウクライナ社会全体に「ドンバスにいるロシア語話者のテロリストたち」に対する暴力を黙認するような「文化」が出現していた。
・ゼレンスキー大統領はミンスク合意で交渉当事者として認められた共和国側の代表との交渉を拒否し、両共和国の存在そのものを否定し、ロシアからクリミアを奪還すると公言し続けてきた。
西側メディアは「2014年にロシアはクリミアを一方的に併合した」と報道してきたが、18世紀から1991年までロシア・ソ連領であり続けたクリミアでは91年と94年にも住民投票が実施され、クリミアの住民の多くは一貫してウクライナから分離してロシアへ編入されることを望んでいた。
プーチン大統領は、NATOと一体化して年々強大化するウクライナ軍がドンバスのロシア語話者を全面攻撃し、ロシアにとって死活的に重要なクリミアにもいつ攻め込んでくるか分からない状況を「国家存続を脅かす事態」とみなし、「特別軍事作戦」を開始したと思われる。
そもそも、ウクライナ語話者とロシア語話者が共存する多民族国家ウクライナに米国が介入しなければ、この戦争は起こらなかった。
ロシアとも欧州とも協力し合わなければ、ウクライナが発展する道はなかった。にもかかわらず、2014年に米国は、ロシアを弱体化させて自らの絶対正義を世界に拡散させるために親欧米派を支援し、暴力的な政権転覆を成功させた。
また、「革命」後に新政府がロシア語話者を弾圧・虐殺し続けなければ、クリミア編入もドンバス紛争もロシアの軍事介入もなかっただろう。
2・24後に西側でロシアに対するヒステリー状態が生まれたのはなぜか。
西側の指導者とメディアの多くが、客観的な情報やデータを無視し、別の世界観を持つロシアに対して恐怖感を抱き、「侵略国家ロシア」という思い込みから抜け出せないからではないか。
ジャック・ボー氏や私の分析が絶対に正しいと主張するつもりはない。
ただ、日本を戦争当事国から停戦の仲介国に変えるためには、中立機関の客観的データなどを基に冷静に議論を深めることが重要ではないだろうか。
これからも一研究者として、常識や事実と宣伝される仮説について、一つひとつ丁寧に検証していきたい。
[もっと知りたい!続けてお読みください →] ウクライナに阿鼻叫喚の地獄をもたらしたのは米国だ
[関連記事]
国は企業に対して「女性管理職の登用」の推進を提言していますが、そもそも女性登用にはどのようなメリットがあるのでしょうか。世界ランキングにみる日本の現状とともに、みていきましょう。
国は「女性活躍」を掲げ、企業に対して「女性の管理職登用」の推進を提言。2003年には「2020年には指導的地位に占める女性の割合を30%にする」と数値目標を設定していました。しかしその目標は達成することはできませんでした。
世界的にみても、日本の女性の管理職比率は低いものがあります。ILO(国際労働機関)によると、女性管理職率が最も高い国は西アフリカの「トーゴ」で65.69%。続くのが東カリブ海の「セントルシア」で58.4%。「コートジボアール」「ジャマイカ」「コロンビア」と続きます。
先進7ヵ国でみると、最も高い「アメリカ」は39.7%で、世界36位。続く「イギリス」は36.5%で、世界50位。「カナダ」「フランス」「ドイツ」「イタリア」と続き、「日本」は最下位で14.7%。世界でみても167位と、驚くほどの順位です。
【世界「女性管理職率」上位10ヵ国】
1位「トーゴ」65.69%
2位「セントルシア」58.49%
4位「ジャマイカ」56.99%
5位「コロンビア」56.19%
6位「セントビンセント・グレナディーン」55.61%
7位「フィリピン」53.63%
8位「ホンジュラス」51.05%
9位「バハマ」49.75%
10位「バルバドス」49.10%
----------------------------------------
36位「アメリカ」39.77%
50位「イギリス」36.57%
54位「カナダ」35.88%
68位「フランス」33.97%
167位「日本」14.75%
出所:ILO(国際労働機関)2019年推定値
また東証一部上場企業において役員に女性がいない企業は「2021年」で732社で全体33.4%。「2017年」1,253社・62.0%、「2018年」1,215社・57.8%、「2019年」1,047社・48.7%、「2020年」918社・42.3%と確実に女性の登用は拡大していますが、まだまだ不十分と言わざるを得ません。
企業が女性を管理職に登用することに、どのようなメリットがあるのでしょうか。
「女性役員比率の高い企業」は「女性役員がいない企業」と比べて、ROE(自己資本利益率)は7ポイントほど高く、EBITマージン(支払金利前税引前利益と売上高の比率)は6ポイントほど高いという研究結果があります。また「女性管理職のいる多様性のある組織」は「女性管理職がおらず多様性のない組織」と比べて「5年以上長期で勤続する予定」という従業員が40%以上も多いという調査結果もあり、人材流出防止につながることが証明されています。
一方で女性登用を前に、多くの課題が浮き彫りになっています。
●結婚・出産といったライフイベントを経験する前の社員において、管理職登用に対する漠然とした 不安感があり、女性社員が男性社員に比べて管理職への登用に対して消極的になってしまう(鉄鋼業)
●一部の業務において、ワークとライフとの両立が難しいことから、家庭を主に担う女性が昇進に躊躇し がちになる(サービス業)
●管理者や女性社員本人にまだアンコンシャスバイアスやインポスターシンドロ ームが 一部残っている(保険業)
出所:内閣府男女共同参画局『令和3年度女性の役員登用に関する課題と取組事例』より
このように、単にポジションを与えるだけでは不十分であることは明らかです。女性管理職を増やすためには、まず「ワークライフバランスのサポート」。どうしても家庭の負担は女性にかかりがちですから、産休・育児休暇、時短勤務などの各種制度の整備は不可欠です。また「産休や育休はキャリアにおいてマイナス」などとなると、せっかくの制度も意味がありません。公正な評価が受けられるよう、評価制度の見直しも必須です。
また管理職登用の基準が曖昧では、従業員本人が管理職を目指すことがなかなかできないもの。管理職昇格のためのスキルが明確であれば、人事をスムーズに進められるようになるでしょう。
女性の活躍によって企業風土は変わり、成長の原動力になっていく……女性管理職比率を上げることにはプラスの面しかない、といっても過言ではないのです。